2021年2月22日月曜日

2020年モスクワ旅行記(3日目)。ガガーリンとライカに会いた~い!の巻。

  2月21日金曜日。

 昨日も22時ごろに寝てしまったせいか、朝5時前にバッチリ目が覚めてしまった。窓の外を覗くと、少し日が出てきたのか、空が白味がかった青色をしている。色の名前でいえば、オーロラブルーが近いだろう。日本にいても、早朝の空を見ることはなかなかないので、東京の冬の早朝の空の色がどんなだったか忘れてしまった。

 しっかり寝ていたのか、眠くならないので、二度寝せずまま8時ごろまで仕事をする。今日は地下鉄に乗るので、ラッシュを避けるために、10時ごろに宿を出た。プロスペクトミーラ駅からメトロの6番オレンジラインで、北上4駅のVDNKh(ヴェデンハ)駅へ到着。この駅から出てすぐのところに、全ロシア博覧センターがあるのだ。今日は1日ここで過ごす予定だ。


 前日、2月20日、『レーニンを見に行きた~い!の巻は←こちら。



 全ロシア博覧センターは、1939年に開催された、全ロシア農業博覧会用に作られた会場が起源で、それからソ連が崩壊するまで何十年もかけて、広大な敷地内にさまざまな施設が作られたテーマパークみたいなところだそうな。現在はその時代の建物を修復しながら、イベントホールや博物館、美術館などとして利用しているが、その特徴的な建築物の数々のおかげで、どこまで行っても「ザ・ソビエト」な空間にいられる貴重な場所だ。それから、広大な園内に複数の箱物施設が散らばり、スポーツ施設や水族館、ミニ遊園地などもある様子は、上野公園に近い感じがする。




 駅から出ると、すぐ目の前に宇宙飛行士記念博物館のオベリスクや、真っ白で巨大な凱旋門やらが飛び込んでくる。凱旋門の下に立つと、まっすぐに敷かれた長い道の向こうに、星を掲げた黄金の柱がそびえ立つ白亜のソビエト式建築のパビリオンと、その前方にはレーニンの銅像が出迎えてきた。足を踏み入れれば、もうそこはソビエト連邦。しかも、期間限定オプションとして、週末からのお祭りのシンボルである太陽をあしらった愛らしい飾りや門も加わって、奇妙だが、より生々しい雰囲気も感じられる。Google MAPで調べていたときも、広そうだなとはおもっていたが、それを超える広大な様子だ。


 今日は雲ひとつない青空が広がり、気温は2度とちょうどいい。ちょっくら頑張って散歩してみよう。


 ところで、平日の昼近くだが、ポツポツとビジネスマン風の人々がいる。ここいらの施設で働く人たちかなと思ったのだが、どうも様子が違う。彼らはレーニン像から右手の奥に、吸い込まれるように向かっているので、何があるのかとついて行ってみると、なるほど、新しめの大きなコンベンションセンターで近々展示会が始まるようで、そのビジネスデーが今日のようだ。私はお呼びで無いので、そこから園内を少し散策することにした。



 先ほどのレーニン像のあった建物の裏側を目指すと、多角形の広場へ出た。凱旋門から歩いて、最初の噴水広場で、それをぐるっと囲むように、複数の個性的な装いをしたパビリオンが立ち並ぶ。中心に黄金の像で囲まれた立派な噴水が見えるはずなのだが、アイススケートリンクにぐるりと囲まれ、リンクに入らなければ、全体を見ることができそうも無い。事前に組んだスケジュールによると、この広場に沿ってたつ、第71パビリオンへ行くとあるので、そこに入ることにした。




(出入り口のカーブ部分には、こんなソレ~ンな絵が描かれている。こーゆーのをきちんと管理して、観光や歴史の遺産として残すのも手だよね。)


 この施設は、1950年代初頭に建てられたもので、所々に金色に装飾されたギリシャ調の真っ白で優美な外観が目を引く。もちろん、ソ連の槌鎌のマークも当時のままバッチリそのまま残っているそうな。内部はきれいにリニューアルされており、白く清潔な空間になっていた。



 現在はモスクワ市の公共サービス(市役所に近いところなのかな?)の宮殿となっており、また、様々な通信の歴史や職業について楽しく勉強できる無料の施設になっている。特に、ホログラムを利用した展示が面白く、勉強をしながら、スター・ウオーズなどのSF映画の中で行われているようなことを体験できたりする。そんな最新式のテクノロジーに混じり、ソ連時代からあったであろう、ステンドグラスの数々が、これまたSF小説の中にいるようで、いい塩梅に輝いていた。カフェ、無料のトイレや、休憩スペースなどもあるので、屋根のあるところで、軽く休憩をしたい人にもおすすめだ。





 次に見学予定だったパビリオン67は、残念ながら閉鎖中だった。木造の伝統家屋を模した木彫の外観が特徴の、建築関係の博物館だそうで、ぜひとも見学したかったが残念だ。次の目的地へ向かいたいが、例のスケートリンクがあるため、遠回りすることに。67パビリオンのちょうど向かいにあるため、本来なら噴水の脇を通っていけるはずなのだが、仕方がない。




 続いての施設は、『ロボスタンツィヤ』という、その名の通り、様々なロボットが展示してある科学博物館だ。入場料は500ルーブル。建物の外観は古代ローマ宮殿風だが、シンプルな形の可愛らしいロボット達出迎えてくれる。室内はこちらも、古いものと新しいものを上手にとりいれたデザインになっており、この施設のことを書いた可愛らしいイラスト付きのパネルに従って、進んで行く形になっている。


 チケットを買い、入場口方面へ進むと、まず先に可愛いイラスト付きのアシモフのロボット三原則に関しての説明パネルが登場した。この施設は、複数人ごとに1人の係員がつき、各展示物を説明しながら見学するものだったらしく、優しそうなお兄さんが、お一人ですか?こちらでお待ちください、的誘導をしてくれた。順番を待つ間、ロボット三原則を頭に叩き入れておくということもできるのか、なるほど。1分ぐらいで私がついて行くグループが動き出した。穏やかな雰囲気の若い女性の係員を筆頭に、幼稚園ぐらいのちいさな子供達と、そのお婆さん達のグループで、私だけ他人で少し気まずい。


 水槽を泳ぐ魚のロボット、品物を分別するロボット、文字を書くロボット、話しかけてくれるロボット、ジュースを入れてくれるロボット、楽器を演奏するロボット、実際に購入できる販売機、トランスフォーマー、日本のアザラシ型ロボットなど、古今東西の様々なロボットが展示されていて、それぞれが体験できるため、ロボットが好きな人は大満足できる施設だろう。




 入り口地から少し歩いたところに、日本製の小さなロボットが数体設置してあるブースがあり、そこの担当者がスイッチを入れると、楽しげな音楽と光の中で、ロボットたちが一斉に踊り出すと、それに釣られて子供達も、ロボットの真似をしたダンスを始める、ノリノリだ。初めは孫たちを写真やビデオに収めていた、おばあちゃんたちもいっしょにダンスダンス。

 ダンスが終わったあたりで、さすがに一緒の行動はぎこちない感じがしたので、失礼して単独行動することにした。周りを見ると、ガイドなしで自由に見学している親子も見かけたので、多分、人数ごとに入場させているだけで、自由に見学しても問題ないのだろう。




 ダンスをするロボットのすぐそばに、あのスプートニク2号で宇宙へ旅立った宇宙犬ライカをもしたであろう、巨大なロボットが現れた。なんとなくタイムボカンシリーズのメカのような雰囲気もあるが、とにかくロボット好きではなくても心躍るような愛らしいフォルムをしているので必見だ。これは是非ともグッズを作って欲しい。

 施設自体、そんなに広くはないが、子供であれば数時間はしっかり遊べるようなところだ。全ロシア博覧センターには、有名な宇宙飛行士記念博物があるが、宇宙船を見るついでにでも、ぜひ、こちらのロボスタンツィヤへ足を運んではいかがだろうか。



 たっぷり楽しんだあとは、ロボスタンツィヤの裏のほうにある『ヴァレニチナヤ No. 1』というファミリーレストランで昼食を取ることにした。ここは70~80年代ごろのソビエト時代のレストランをイメージした内装の中で、安価にロシアの家庭料理が食べられるチェーン店で、モスクワのあちこちにある。そしてメニューが英語と写真付きなので観光客に優しい。あまりお腹が空いていなかったので、チェリージュースとズッキーニのパンケーキで軽く済ます。合計500ルーブル。休憩をとったあと、元来た駅の方向へ戻り、今日のメインである『宇宙飛行士記念博物館』へ。 


 2016年のロシア旅行のとき、モスクワの中心地から、複数の教会からなる有名な世界遺産、セルギエフ・ポサドへ向かうバスの中から一瞬だけ、宇宙へ飛び立つロケットを模したスマートなオベリスクを見た。その時はとても遠くにありそうな感じがしたが、実際行ってみると、駅からすぐそばのところに立っていた。上野公園で例えると、ちょうど上野駅公園口から東京文化会館入口までの距離程度だろう。そのくらい近い。


 尻尾のように伸びたオベリスクの真下が『宇宙飛行士記念博物館』になっており、入口からたくさんの観光客や、親子連れ、社会科見学であろう、小中高校生たちの複数のグループが、楽しそうに見学していた。今まで歩いてきた広場やパビリオンにはほぼ人がいなかったのに、さすが人気施設、平日でも多くの人で賑わっている。入場料は300ルーブル。




 入場してすぐに飛び込んでくる、巨大な宇宙飛行士の立像は、ほんとかっこよくて感動する。同じく、一番初めの部屋には、ソユーズやスプートニクなどのロケットや衛星、エンジン、書類、記念品、宇宙犬ベルカとストレルの剥製?など、黄金時代の品々が展示されている。立像の裏はホールになっていて、大学生くらいの学生たちが集まっていた。



 ソビエト時代から現代までの、外国のものを含めた宇宙と、宇宙開発にか関する様々なものが、非常に細やかで丁寧に展示してある。こちらでもビデオやイラストによる解説を多く取り入れており、言葉が分からなくてもんなんとなくわかる仕組みだ。実際に使われた本物の展示品のほか、模型も多数あり、触ったり中に入ったりして体験できるシュミレーターもある。


 入り口の売店や、中のカフェテリアでは宇宙食も買え、ガガーリンやテレシコワ、ライカにスプートニクにボストーク。様々なヒーローたちが描かれたTシャツやポーチなど様々な限定グッズもあるので、購入することを忘れずに。あとで別の店でも売っていると思い、買わずに出てしまい後悔した私のようになってはいけないのだ。ロシア人の同僚であろう人を連れた、日本人の若いビジネスマンが、少し高めのお土産を満足そうに購入していた。私も彼のように買うべきだったのだ。




 建物の外は公園になっていて、オベリスクのふもとをぐるっと歩いて回ることができる。そこの中心には、ロケット研究者コンスタンチン・ツィオルコフスキーの像が鎮座し、両側にはソ連時代の宇宙開発をモチーフにした、いかにもな雄々しいレリーフが施されている。

 ツィオルコフスキーの足元から階段を降りた先は、並木道『宇宙開発通り』になっており、歴代の名だたる宇宙飛行士や開発者たちの像と、様々な惑星の彫刻が並んでいるので、時間があれば、ぜひとも見学していただきたい。




 時間は15時ごろ。だいぶ見学したつもりでいたが、時間が余ってしまった。帰宅ラッシュの時間には鉢合わせたくないとおもい、とりあえず地下鉄に乗ろうと、トロイカを取り出し改札にタッチしたのだが、タイミングが悪くエラーを出して、私の後ろから来た人がゲートに捕まってしまい、それに気づいた駅員のおばちゃんに呼ばれてしまう。



 キセルを疑われて叱られるのかと思いきや、ポスポートを見せなさい、というようなことを言われた。その時、モスクワに住んでいる日本人のツイートで、中国人を完全に締め出す目的で、20日からアジア人っぽい人を見つけて、パスポートチェックをしているとの話だ。おばちゃん駅員さんは、アラごめんなさいね、というふうに、すぐにパスポートを返してくれ、もう一度改札を通りなさい、というように、入り口へ出してくれた。なかなか厳しい。この件のあと、いちども捕まることなく帰国できたので、一度チェックした時点で謎の科学技術を駆使したOKリストなど作っているのかな?と思っていたが、人によっては毎日のように引っかかる人もいたらしいからよく分からない。ロシアは多民族国家で、東アジアや中央アジア系の人もたくさんいるから、係の人も大変だなぁ。(人種関係のはなしは、この数日後に嬉しいミラクルが起きたのでまた。ほんとビックリした。)

 こんなこともあり、このコロナの様子だと、もしかしたらそのうち日本への便もなくなってしまうかもしれないと、ほんの少し危機感が芽生え始める。そうとなると、必ず見て帰りたい場所へは早めに行くが吉と考え、まずはプロスペクトミーラで下車し、ホテルから歩いて5分ほどの場所にある、『ヴァスネツォフの家』へ行くことにした。



 ヴィクトル・ヴァスネツォフは、19世紀後半から20世紀初頭まで活躍した画家で、御伽噺に関する作品を多数残している、ロシアのイラストレーション画家として、イヴァン・ビリビン、レオン・バクストとともに紹介されることも多いかと思う。わたしも子供の頃に、たくさんのロシアやウクライナなどに物語や音楽を楽しみ、それらが縁でヴァスネツォフの作品を目にする機会が多数あった。特徴として、どんな世界の物語でも、この時代のイラストレーションによくある、性的や精神世界的な雰囲気は全く無く、写実的だが、だれもが子供のように気取らない気持ちで見れる、正直な絵を描く作家だと思う。


(団地のようなアパートが立ち並ぶ場所にあるため、外観の写真を撮るのがとても難しかったが、もうちょっと引いたマシな写真は撮れなかったのかと。)

 トレチャコフ美術館の別館として保護されている建物は、住宅街のど真ん中という非常にわかりずらい場所にある。鉄筋のアパートの間にひっそりと埋もれるように、ロシアを代表する画家のひとり、ヴァスネツォフが暮らした家で、美術館である古い木造の伝統的な建物が登場する。そんな様子に、なんだか子供の頃に、似た景色の中で遊んでいたな、と、思い出してしまった。

 入場料は300ルーブル。門をくぐってすぐの場所に券売機があったのだが、見落としてしまい、カウンターで購入しようとしたら、受付のおばちゃんから、めんどくさそうに注意された。すいません。


 床を傷つけつけないように、靴の上から使い捨てのビニールカバーを履き、1894年建築のロシアの庶民家そのままのお宅にお邪魔する。昨日訪れたお屋敷とは異なり、多少近代的だが、ロシア独特の木造建築を見学できるのも貴重な経験だ。

 各部屋に本やクラシックのCDアルバムジャケットなどで何度も見たことがある、有名絵画の数々のオリジナルやスケッチ、写真などが飾られており、それもとても近いところからじっくり楽しめる。

 


 ここの学芸員のおばちゃんたちは少し気むづかしそうな人が揃っていたが、やはり見落としがちな場所へきちんと誘導してくれた。案内された木造の階段ギャラリーを登った先は、この家のメインであろう、広く明るいアトリエへ出た。眠り姫、笑わないお姫様、アラビアンナイト、バーバヤガー、ミカエル軍と堕天使軍の戦いその他、多数の巨大な有名作品が展示してあり、インテリアは、ヴァスネツォフがまだここで仕事をしているような雰囲気で並んでいる。中心にはベンチがあり、ゆっくり座って楽しむことができた。


 



 帰りの途中でアイスクリームを買い、ホテルへ戻る。途中でたくさんのイスラム教徒の人たちを見た、今日は金曜日だ。ホテルのそばに大きなモスクがあるので、後日、見学に行きたいと思う。

 

 ほどほどにしようと思っていたが、今日も頑張って観光してしまった。



次回、4日目。
へ、つづく。

前日、2月20日、『レーニンを見に行きた~い!の巻は←こちら。


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